「InfoView(Inforance's Interview)」は、インフォランスゆかりの経営者に代表の佐々木がインタビューをする企画です。今回は、インターネット広告の効果測定システムで国内No.1 のシェアを持つ「ADEBiS」や、オープンソースのECパッケージ「EC-CUBE」の開発・販売で、IT業界に新しい風を吹き込んでいる、株式会社ロックオンの代表取締役岩田 進様にインタビューさせていただきました。
はじめてのビジネスは苦い幕切れだったんですね。それで、そのあとは大学に戻られたのですか?
はい。まだ、何か世界に対して大きなことをやらねば、という想いは抱きながらも、自分はこの先、どの分野と関わっていきたいのか、どこに向けてインパクトを与えたいのか、といった、次にやりたい具体的な方向性が定まらなかったので、ここは一度大学へ戻って、いろいろと見つめ直し、ビジネスの基礎体力をつけてから、また社会へ出直そうと思ったんです。
そして、いま身につけておくべきスキルは何だろうかと、あらためて考え直しました。そこで浮かんだのが、ITと金融。当時、世間はITバブルの時代で、今後ITはますます身近なものになるだろうと感じていましたし、ビジネスをやっていく以上、どんな道へ進むことになったとしても、お金の流れや仕組みは学んでおくべきだと思ったからです。これらの分野を1から学ぼうと決め、パソコンを買い、証券会社に口座を開設し、新たなスタートを切りました。

私も学生時代、株についてはだいぶ研究をして、さまざまな経験を積んだものです。パチスロで稼いだ何百万かを元に、株式投資につぎ込んでいました。当時は会社四季報を読むのを趣味にしていましたからね。とても勉強になりましたよ。その頃の株式市場ってどんな状態でしたか?
ミニ株というのが出始めた頃で、自分のわずかな手持ちのお金でも多少は売買できるような状況でした。しかし、結局、私は株のほうにはそれほど興味が湧かず、もう一方のIT、つまりコンピュータをもっと追究したくなったのです。コンピュータといってもいろいろありますが、これからの時代、インターネットがますます普及していくでしょうから、ネットワーク系の先にビジネスチャンスが広がるのではと思い、ネットワークエンジニアを目指すことにしました。
それからの1年ほどは、勉強に没頭し、家に10台くらいパソコンを並べて、インフラ構築を試みたりしていました。ちょうどその頃、いろんなプロバイダが世に出てきた時期でしたので、それらのどこかに就職して、給料はタダでも構わないので、現場で学ばせてもらおうと思い、何社か回ってみました。しかし、世の中、上には上がいるものです。文字通り、なりふり構わずコンピュータに没頭している人たちを目の当たりにして、「この人たちには太刀打ちできないな」と降参しました。とはいってもネットワークの世界に対しては、依然、成長の可能性を感じ続けていたので、今のスキルを突き詰めてエンジニアになるのではなく、今持っている知識を生かし、もっとビジネス寄りの方向で何か形にできないのかと考えるようになりました。
そうこうしているうちに、周りは就職活動を始めるような時期ですよね。大学を卒業して就職をする道は考えていなかったんですか?
その頃、私が大学3年で、現役で入学した友人たちは4年生の就職活動真っ只中でした。友人たちは皆就職を考えていたので、私も様子見で会社説明会へ行ったりもしました。しかし、新しく考えたビジネスが形になりつつあったので、就職はせず、自分の作り出す道1本でやっていこうと決めたのがちょうどその頃でしたね。
「就職はしない」と決意を固めるほどの、新しいビジネスとは、どのようなものだったのでしょうか。
旅行ビジネスでした。コンピュータを学んでいるうちに、旅行とインターネットは非常に相性が良いのではないかと気づきました。私が世界を旅していた時に気になっていたのが、日本人旅行者には、ツアー旅行をバカにするくせに、結局皆同じ、薄っぺらの人気旅行情報誌を片手に旅をしている人が多くいることでした。せっかく、世界各地に日本人がいるんだから、インターネットを活用して、現地からの情報を得て、もっと厚みのある充実した情報を流通できれば、日本人の国際感覚もどんどん磨かれていくのではないかと思ったのです。

そこで、日本人旅行者に向けた、世界各国の情報流通の発信源になろうと、旅行のポータルサイトを運営する会社を立ち上げ、さまざまなコンテンツを作りました。飲食店を始めた時と比べると、マネジメント力もついているし、コンピュータという専門スキルも持っている。そして、少ないお金をなんとか工面して、オフィスを借り、税理士もつけて、きちんとした会社組織を作った。これで今度こそ軌道に乗るのではないかと思ったのですが、結果として、この仕事もうまくいきませんでした。
今回は、目の付けどころ自体は悪くなかったと思うのですが、コンテンツを社内で制作するのではなく、外注に出していたのが敗因でした。制作を外注すると、どうしても社内で作るよりコストがかかってしまいます。その上、レスポンスが社内ほど良くないので、制作スピードが落ちる、完成度も詰め切れないために質が良くない、さらに、社内にノウハウが貯まらない、といったように、マイナス要因が多くなってしまったのです。
それらの敗因を分析しているうちに、やはり、自分が目指したいのは、世の中に何らかの形で影響やインパクトを与えることであると再認識し、そのためには、スピードとオリジナリティが必要不可欠であると強く感じました。そこで、失敗を繰り返さないよう、まずは自社内で開発を行い、そしてゆくゆくは自社製品を開発・販売できる社内体制を作ろうと決めたのです。そして、新たにWebサイトの受注制作から出直すことになりました。それが、今のロックオンの前身となる会社なのです。