infoView vol. 05|ロックオン岩田社長

InfoViewInforance's Interview)」は、インフォランスゆかりの経営者に代表の佐々木がインタビューをする企画です。今回は、インターネット広告の効果測定システムで国内No.1 のシェアを持つ「ADEBiS」や、オープンソースのECパッケージ「EC-CUBE」の開発・販売で、IT業界に新しい風を吹き込んでいる、株式会社ロックオンの代表取締役岩田 進様にインタビューさせていただきました。

三度目の正直。ついに世界は動いた

佐々木

ついに、やるべきことが明確になってきたのですね。そこでWebサイト制作を選んだのはなぜですか?

岩田

学んできたネットワークの知識を生かせて、しかも少人数で、完全に自社内で制作が可能ということで、Webサイトの制作が、最も理にかなった仕事だったのです。立ち上げ当初はまだ学生だったので、本来ならばビジネス上は不利だったかもしれませんが、そこを逆手に取り、「学生が10万円でホームページを作ります」と触れ込み、新聞などに取り上げてもらいました。すると、ホームページは作ってもらいたいけれど、いきなり知らない企業に頼むのは、だまされたりしないか心配で、というような地元の商店街の小さいお店の方などが、値段の安さと学生という身分が知れている安心感からか、頻繁に問い合わせや発注をしてくださるようになりました。

三度目の正直。ついに世界は動いた

はじめは、時間はたっぷりありますから、10万円で受けた仕事をじっくり丁寧に取り組んで、20万円分くらいの価値があるサイトを作っていました。それを、「15万円でこんなしっかりしたサイトができます」と実績を持ってほかの企業へ売り込み、今度は30万円分くらいの仕事をして、それを25万で売り込み…というように、少しずつスキルを上げ、ノウハウを貯め、売上も伸ばし、コツコツと作業をしていました。

佐々木

なるほど。まずは失敗を活かして、自社で行うということを最優先したのですね。そこから、「EBiS」のような、広告効果測定ツールが産まれたきっかけはどのような経緯だったのですか?

岩田

その後は、だんだんと広告代理店や大手制作会社の下請け、孫請けという形での受注が増えてきたのです。そして、そこで大手制作会社のノウハウを吸収し、徐々に広告代理店と直で仕事させてもらえるようになり、デザインや開発の仕事も入ってくるようになりました。

しかし、あくまでもインパクトを与える会社づくりの基本は自社開発、自社製品というところは忘れていませんでした。ですから、そこへ行きつくまでの段階として、まずは単発での納品ばかりではなく、それらを融合させて付加価値を上げたい、また、安定した収益につなげたい、という、今後につながるふたつの希望を満たせそうな、EC に特化した受託開発会社というスタンスでやっていました。

そんな中、お客様からは、当然のことながら「もっと売上を上げたい」という相談をよく受けており、あらためて世の中にあるサイトの動向を見渡してみると、非常に感覚的にWebサイトを作っているところが多いな、という印象を受けたのです。

佐々木

感覚的、といいますと、具体的に狙いが定まっていない、ということでしょうか?

岩田

そうですね。また、狙いがあって、一応何かしらの仮説を立てていたとしても、その仮説の検証が、非常にあいまいだったのです。「なんか売上伸びないね」といって、むやみにリニューアルをしてみたり。それでは何の発展性もないし、そこに改善の余地があるのではと思ったのです。Webコマースには、双方向性という大きな特性がありますので、それを活かし、しっかりと効果を測定して改善する、そのPDCAサイクルを回していくために欠けているのは、そのチェックツールなのではないかと考えたのです。

そこでまず、アクセスログに着目し、当時、他社から出ていたツールを一通りひと通り使ってみたのですが、どうもどれも使いづらい、ということがわかりました。そこで、アクセスログ解析の考え方を応用して、もっとマーケティングに特化した製品ができるのではと考え、開発してみたところ、それなりに手ごたえを感じることができました。

しかし、アクセス解析から成約率がわかって、対策を講じたところで、今まで3%だった成約率が10%に伸びることなんてはありえない。せいぜい、3人が4人になる程度です。それでは、導入したお客様にとっては、大したインパクトにはならないと考えたのです。

それよりも、広告の部分からサイトに呼び込まれた人の数が増えたほうが、インパクトが目に見えて伝わるのでないかと考え、広告に特化した効果測定ツールを作っていこうと決めたのです。こうして、「EBiS」が生みだされることになりました。

佐々木

そのニーズの部分というのは、ほかの皆さんが気づいていなかったということなんでしょうか。

岩田

そうなのでしょうね。ただ、広告業界の人にとっては、そこの数字は広告主に説明することができない部分なのです。広告の投資対効果は、長い間広告業界のタブーでした。なぜなら、テレビや新聞に多額の費用をかけて広告を打ったとしても、その広告が、どのくらい好感度アップにつながったのか、どのくらい購買を喚起したのかなどを正確に調べる手立てなんてありませんから。しかし、インターネットという双方向性のメディアにおいては、閲覧者の行動から、リアルタイムで広告の効果を測定することができ、広告主は、それに対して、既存のメディアに比べたらはるかに低コストで、きめ細かな対策を打つことができるわけです。ただ、外部からそこに着目して積極的に取り組もうと思う人がほかにいなかったということでしょうかね。

佐々木

さて、これで念願の自社製品が誕生したわけですが、これをどうやって展開しようと考えていたのですか?

岩田

三度目の正直。ついに世界は動いた

そこも大事なポイントでした。当時は、まだ従業員が10名にも満たないくらいの、大阪の名もない制作会社でした。そんな会社が、マス向けの広告測定ツールを作りましたなんていっても、誰も信頼してくれませんよね。そこで考えたのが、弊社の人間が、広告代理店の方に直接使い方を説明し、あとは、広告代理店からクライアントへ「今は広告も綿密な効果測定ができる時代ですよ」と提案に含めてもらい、導入していただくという流通網です。少ない人数で対応するには、このやり方しかないと思いました。この作戦は見事に功を奏し、「EBiS」はさまざまなところで評判を呼び、今ではおかげさまで国内No.1のシェアを誇るツールとなったわけです。

佐々木

では、それだけ普及した今でも、社内に販売担当の方はいらっしゃらないのですか?

岩田

そうです。販売はすべて販売代理店経由です。イメージ的には、家電メーカーと量販店との関係のような感じでしょうか。われわれがメーカーで、製品を作り、販売は量販店に依頼する。メーカーの社員は、ときどき量販店へ出向き、製品のアドバイスや新機能の案内をする、といった役割です。

佐々木

なるほど。営業専門の社員を抱えていないというのは、いい仕組みですね。

先ほど、この「EBiS」の画面を拝見させていただきましたけれども、商品を購入されたお客様が、どこ経由で自分のサイトにたどり着いて、何分間どのページを見ていたか、なんてところまで丸見えなんですね。この仕組みはやはりほかではなかなか真似できない技術なんですよね。

岩田

そうですね。難しいでしょうね。

佐々木

本当にこんなにはっきりわかるなんてすごいですね。みんな導入するべきですね、この「EBiS」。

岩田

もちろん(笑)。導入方法は非常に簡単で、既存のホームページをほとんど作り変えることなく、15分程度の作業で完了する手軽なものですが、それでいて本当に価格以上の価値を提供しているという自負はあります。例えば、全く同じURL に、ランダムで違うパターンの広告が何種類か出るようにしておいて、どの広告からの獲得単価がいちばん高いかなんてこともわかります。それで、下位の広告をどんどん入れ替えていって、さらに効果が上がっていく、なんてこともできますからね。

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