infoView vol. 04|ステージ河野社長

InfoViewInforance's Interview)」は、インフォランスゆかりの経営者に代表の佐々木がインタビューをする企画です。今回は、「『犯罪は未然に防ぐ』という新しい防犯の選択肢を通じて社会に貢献する」という経営理念のもと、中小企業中心にオーダーメイド総合防犯システムのコンサルティングを行っている株式会社ステージの代表取締役河野 保治様にインタビューさせていただきました。

直球勝負のセキュリティビジネス

河野

実は長年、通信機器、OA機器を販売する中で、ずっと気にしていたことがあったんです。私が最初の会社に入った頃は、ちょうど世の中にコードレスの電話機が登場した時代でした。そのカタログを持って中小企業の会社を訪問し、説明すると、目を丸くして「何でつながるの?」って皆さん驚いてくれた。ですから、表面上では「いらないよ」って断られても、これは必ずお客様に評価していただける良い商品であるということは分かったので、この良さをもっと伝えたい!と思っていました。でも、中小企業のオーナーさんが本当に望んでいるのは、そこまで高性能でなくてもいいから、最低限の機能がついている安い商品。そこに、いくら良いものとは言え、必要のないものを売り込んでいるなっていう気持ちを心の片隅にいつも感じていました。

直球勝負のセキュリティビジネス

そして、自分が会社の採用業務に携わるようになり、自分が採用した新卒たちが、自分が作ったセールストークやツールを持って営業に回る。テレアポをガンガンかける。すると、新卒たちがこう言うのです。「壊れてもいないのに、必要のない商品をお客様に売り付けているようでイヤだ」と。私はそこで、お客様のためなんだから、などと言ってそんな意見を丸めこんでいたのですが、やはり実は自分がいちばんそこに納得していなかった。うちの親も中小企業のオーナーだからそういう営業の電話がガンガン来る、それをうっとうしいと思っている。そのことをよく知っていたわけですから。

佐々木

そんな中で、セキュリティの仕事は世の中の役に立つし、ビジネスとしてもいいんじゃないか思われたわけですね。

河野

そうです。その事業がスタートした時に、簡単にいうと、自分の中に今まであった引っ掛かりがスコーンととれたんです。通信の仕事とは違って、直球勝負。男と男の、こう、ふんどしの裸相撲じゃないけれど、本当に嘘偽りがない感じで、もうそういうのばっかりやりたくなっちゃったんですよ。会社は当時、メインの通信の事業部と、まだこれからっていう、セキュリティの事業部と、私に両方の事業部を見てくれと言っていて、営業マンの99%は通信の担当で、セキュリティ担当は5、6人しかいなかったんです。だけど私は、通信の事業部にもう関わりたくなかった。それで、通信の方を全然かまってやらなかったので社長に呼び出されて、「通信の方も面倒見てやってくれよ」と言われたりもしましたが、私はもう最終的には、セキュリティ1本でやっていきたいなと。

私の唯一のとりえは、いい商品だったら相手に伝えきることができる部分と、伝える見せ方ができるところ。今まで中小企業の社長相手に、いらないものを売っていた場面もいっぱいあったかもしれないけれど、これから、35歳から後半の人生は、自分の命の使い道として、もっと社会に貢献できるところでいいものを伝えていかないといけないと。セキュリティに関しては有名な大企業もあるけれど、もう一度こういう商品、サービスもあるというのを多くの人に伝えて、お客様にもう1回白黒ジャッジしてもらいたいなっていう想いがすごくあって、それに特化してやっていきたいっていう気持ちが強くなり、独立に至ったわけです。

佐々木

ステージ独立当初は6坪の事務所からスタートしたと伺ったのですが、いかがでしたか?最初はこんなに売れないとは思わなかったっていうお話もありましたが。

河野

予想外でしたね。それまであんまり壁とか逆境とかを感じたことがなくて、部下や後輩からも「鋼鉄のようなやつ」「へこんだりしないの?」って言われていて、自分でも、精神的にすごく強い人間だと思っていたんです。しかし、それは壁に当たったことがなかったからだったっていうことが分かった。逆境とか、本当のつらさを知らなかった。左か右かっていう選択肢の中で、たまたま運良く壁にぶつからない方を選択していただけで、己知らずだった面がけっこうあったんです。実は既にでき上がっているビジネスモデルのパーツをやっていただけで、あとは業界の追い風とか、タイミングとか時期的な部分に思いっきり乗っかっていたために営業成績がたまたま良かったってだけなんだと気づいたわけです。

そんな中、この仕事を通じて何をしたいのかとか、なぜこの会社を作ったのか、これからこの業界を、大手のライバルを抜くことはできないかもしれないけれど、ひとりひとりのお客様に新しいコンセプト、新しいシステムを広めていきたいという夢、目標を話せる仲間が現れた時に、私の中で流れが変わりました。私はやっぱり夢とか志とか想いがないと生きていけない人間なんだなっていうのをすごく感じました。

佐々木

必死さだけで売ってもなかなかうまくいかないと。夢や志といったところを再認識することによって営業のスタイルや話法にも変化が生まれたのでしょうか。

河野

そうですね。人と人だからこそ、言葉以上に感じる部分っていうのがあると思うんですよ。例えば、美容師さんだったら、街中で見かけた女の子を「私だったらもっときれいにしてあげるのにな」って思ったり、お酒を造る酒蔵の息子だったら、居酒屋で日本酒について語っている夫婦を見て「うちのお酒を飲ませてあげたい」って思ったりとか、そういうのと一緒で、儲けたいっていうのももちろん大事だと思いますけれど、自分が扱っている商品、サービスを世の中の多くの人たちに広めていきたいっていう思いの中で、その先に稼いだりとか、事業を拡大、発展させたりだとかがあるような気がして。それが逆になっちゃうとだめだなあっていうのは思いましたねすごく。

直球勝負のセキュリティビジネス

最初はひとりで始めて、そのあとに3人入ってきたんです。違う時期にぽつぽつぽつっと仲間が増えてきた。その中で、やはり夢とか、この会社をどういうふうにしていきたいかとか、この業界はこうあるべきじゃないかっていう部分の、私たちの勝手な想いをいろいろと話し合いました。ブランドイメージだけではなく、本当にお客様の目的にあった防犯とはこうあるべきだ、そのために多くの人たちにもっと広めていこう、うちの組織が全国的に拡大、発展することは社会に必要とされているはずだ、と。ひとりでも多くの人たちに広めていきたいし、同士というか、同じ志に共感してくれる人たちが必ずいるはずだ、と。そういういろんな話ですね。そう言えば勤めていた頃は、己知らずだったけれど、夢や目標だけはすごく語っていたんです。業界変えちゃうよ、みたいな。仲間が入ってきて、そのことを思い出し、ああ、そこが私には特に大事なんだなあと再認識しました。

佐々木

参加された3人というのは昔の同僚なんですか?

河野

前職の会社のメンバーですね。ひとりはセキュリティのメンバー。あとの2人は通信の事業部から。ひとり目の社員が入社する1カ月くらい前、自分の中で思ったのは、今までは嫁さんと子供をなんとか養っていかないと、っていう、自分だけの会社だったのが、第三者が入ってくるということは、自分の夢、目標、ビジョンをしっかり確立させておかなくてはいけないなということ。もう自分だけの会社じゃないんだと思い、そういった部分の本を読んだり、セミナーへ行って勉強したりもしました。

佐々木

仲間のためにも、リーダーとして会社のビジョンを明確にしていかないと、いう思いが出てきたんですね。そこが明確になってくると、実際の成績、商品の売れ行きも変わってきましたか?

河野

そうですね。ほんの少しですけれど役割分担ができてきたことで、視野が少し広くなって、目先の営業だけでなくて、半歩先を見られるようになってきた。それがどんどん広がってきて。今なら、お客様のところへ行って、短時間で信用を作って契約を取るのは、もしかしたら私はもう、彼ら、彼女らにはもう負けちゃうかもしれない。それは本人たちにも言っていますが。そして、彼らがどんどん開拓してくれているところもあり、会社側の3カ月先、半年先の、魚釣りでいうところの網、しかけづくりの部分、営業マンの個の部分でじゃなく、もっと面で、罠、っていうと失礼だけれど、しかけ。しかけづくりをする余裕ができてきた。もともと私はそういうところが好きだった面もあって。そういったところがうまくかみ合ってきたなっていう感がありますね。

佐々木

まさに社長の役割ってところですね。現場では優秀な営業マンがいて、中期的な戦略を自分が考えてしかけを作るっていう。

河野

でもやはりお客様の声をしっかり拾っていないと、しかけもうまく作れないわけですから、現場へは必ず行くようにしています。そこで方向性を確認し合い、微調整しながらやっていく。よりみんなと話すようになりましたね。前職の頃は、俺の話を聞いていれば間違いない、的なところもあったのですが、この会社を始めてからはみんなからの意見を大事に聞くようになりました。それは、最初に売れなかった経験をしたことで、自分は普通の人なんだなっていう部分を感じたからかもしれません。地獄を経験して、あれだけやっても売れない、これだけ決まらない営業マンなのかと思って自分が恥ずかしくなったこともあったし、普通なんだなあ自分はと思って。だから、教えを請うではないですけれど、今は役職の2人には「こう思うけどどう?」というのは必ず聞きますね。本当にあの地獄は味わっておいて良かったと思います。自分がいちばん味わわないといけない人間だった。

佐々木

はじめてレース場へ出て、鼻っ柱を折られた時とある種近いようなスタートだったんですかね。

河野

そうですね。言われてみれば本当にそのとおりですね。

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